PELLEGRINI SALVATORE DEL TORO? トリノに救世主現る?


昨シーズン、「クラブ史上最も屈辱的」といわれる1年を送って最下位で降格したトリノ。巻返しを目指した今年も、昇格ラインに届かないセリエB中位を彷徨っています。サポーターはもう1年以上経営陣に対する抗議を続けており、クラブを取り巻く空気は険悪そのもの。まったくいいことなしだったのですが、そこに、救世主が現れそうだという噂が聞こえてきました。
苦境に陥っているクラブを買い取り、かつての栄光を再びもたらそうと目論んでいるらしいのは、イタリア全国で食堂事業(顧客は企業や見本市会場など)を展開するエルネスト・ペッレグリーニ。そう、90年代半ばまでインテルのオーナーだったあのペッレグリーニです。
トリノの現在のオーナー、フランチェスコ・チミネッリは、南イタリア(カラブリア)の出身で、フィアット、メルセデスといった欧州主要自動車メーカーのダッシュボードなどを製造するプラスチック加工メーカーを一代で築き上げた実業家。90年代末、イングランドの投資家がバックについていると言われていたヴィドゥリッチ前会長が音を上げてクラブを放り出した後を受けて、経営権を買い取ったのですが、これは、なかなか買い手が見つからないことを危惧した地元フィアット(とユヴェントス)のオーナー、故ジャンニ・アニエッリに頼まれてのことでした。もちろんトリノはユーヴェとは対立関係にあるわけですが、より大きな視点から地元の繁栄を考えるのが、イタリア産業界を牛耳る大立者の務めというもの。今は落ちぶれてしまったとはいえ、半世紀前にはセリエA5連覇を果たしたこともある“グランデ・トリノ”が潰れるのを黙って見ているわけにはいきません。
しかしこのチミネッリ、大手納入先のボスに見込まれた以上断るわけにもいかず引き受けたのはいいのですが、元々カルチョに情熱を持っているわけではなく、義理と社会的名声のためにクラブを買い取ったようなものですから、大金を投入してチームを強化するつもりもなく、必要最小限の予算でセリエAとBを行ったり来たりしながらやりくりしよう、という程度の意欲しか持っていません。
しかも実のところ彼は元々ユヴェンティーノ。当初はそれを隠そうとしていたのですが、すぐにサポーターにばれてしまい、それからは何か上手く行かないことがあるとすぐにオーナーを攻撃する格好の口実になってきました。昨シーズン序盤の不振に痺れを切らし、サポーターの全面的な支持を得ていたジャンカルロ・カモレーゼ監督(現レッジーナ)を解任してからは、クルヴァを仕切るウルトラスを完全に敵に回した上に、地元マスコミの大半にもそっぽを向かれ、非常に困難な状況が続いています。
——というような事情からすれば、チミネッリにとってクラブを買い取ろうという奇特な人物の登場は、まさに渡りに船といっていいでしょう。ペッレグリーニは、89-90シーズンにトラパットーニ監督の下、マテウス、ブレーメなどを擁して、インテルにとって今のところ最後のスクデットを勝ち取った会長として記憶に残っているわけですが、その後は、カテナッチョからゾーン&プレッシングへというイタリアサッカーの変革の波を読み間違えて監督人事(オッリーコ、バニョーリ、ビアンキ)、選手選び(ソーサ、ベルカンプ……)で失敗を重ね、結局サポーターの抗議の中、マッシモ・モラッティに経営権を譲渡することになりました。
まあ、金はあるし政治的な後ろ盾もあるようなので、もしうまくトリノを買い取ることになれば、ここ10年以上も苦悩と屈辱に耐え続けているトリニスタの皆さんにも、春が来るかもしれません。まあ、今シーズンの昇格はいずれにせよ簡単じゃないでしょうが……。■

Posted: 日 - 1月 18, 2004 at 11:24 午前        


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