SERIE A 5^ GIORNATA (Parma 0-0 Fiorentina)
パルマ対フィオレンティーナ
——今シーズン二度目のタルディーニ。パルマラットのロゴがなくなったのにも、白黒「クロチャート(十字)」のユニにも、まったく顔ぶれが変わった広報スタッフにも、だいぶ違和感を感じなくなりました。スタジアムには、パルマラットの代わりに、地元のマスコミや銀行などの広告看板が増えています。パルマラット破産からもうすぐ1年、あれだけ親会社に依存していたクラブが、それでも潰れずにセリエAで生き残っているのは奇跡のようなもの。それが可能だったのは、2年前の時点ですでに、縮小均衡路線に転換して独立採算を目指すという経営改革がスタートしており、それがある程度の成果を上げていたからです。サッキ&バラルディの先見の明が、パルマを救ったといえるでしょう。今シーズンのセリエA登録がズルに近い特例措置だったことはさておき。——試合は、調子の上がらない両チームの状況を反映する、見どころの少ない低調な内容で0ー0。どちらもチームの組織がうまく噛み合っていないので、特定の個人(パルマはマルキオンニとモルフェオ、フィオレンティーナはヨルゲンセン)にボールが渡った時にしか攻撃が展開しないのでした。——フィオレンティーナのモンドニコ監督は試合後の会見で「内容には満足している」と語っていましたが、アウェイとはいえ、決定機らしい決定機が90分でわずか1回、組織的な攻撃の組み立てがまったく見られなかった試合に、負けなかったというだけで満足していていいはずがありません。もちろん、本音ではまったく満足などしていないはずですが、徐々に高まってきたマスコミのプレッシャーと追求をかわすためには、そう言うより仕方ないというところなのでしょう。いずれにしてもぼくの目には、フィオレンティーナはいまなおチームとしての土台が固まっていないように見えました。マッジョ、ダイネッリ、マレスカ、リガノーと、本来ならレギュラーを張るべき選手が4人も戦線離脱していることは確かに事実ですが、それ以上に大きな問題は、攻守を貫く明確な戦術的意図が見えてこないところです。——昨日のパルマ戦のシステムは、前線にポルティージョとミッコリを縦に並べた4-4-1-1。4-2-3-1のパルマに対し、1トップのジラルディーノをふたりのCB(ヴィアリ、デッリ・カッリ)がゾーンで見て、トップ下のモルフェオにはボランチのピアンジェレッリがマンツーマンでつくという手堅い体制です。ただし両サイドバックは、高目の位置に張り出したパルマのサイドアタッカー(右マルキオンニ、左ブーデル)を常時1対1でケアしなければなりませんでした。で、試合が動き出してみると、4バックの最終ラインは、CBふたりが鈍足ということもあってか、攻撃時にもほとんど押し上げずに低い位置を保つため、前線との距離が開いて中盤がスカスカになってしまいます。4バック+ピアンジェレッリを基本として構成する守備ブロックはそれなりに堅固なのですが、一旦ボールを奪って攻撃に転じても、布陣が間延びしているのでスピーディにボールが運べず、自陣内で意味のないボールポゼッションを続けるばかり。そこから敵陣に入ったとたんに行き詰まって埒が開かなくなる、という展開の繰り返しでした。ジミーも絶不調だったし。——2トップがポルティージョとミッコリで、ロングパスを放り込むという選択肢を最初から切り捨てざるを得なかったのも、攻撃の埒が開かない大きな原因でした。しかしそれがわかっているなら、ラインを上げて布陣をコンパクトに保ち、短いパスをつないで組み立てる条件を整えるなり、中盤から両ウイングの前のスペースにサイドチェンジして攻撃に奥行きをつくるなり、対応する術はあったはず。しかしフィオレンティーナの攻撃からは、そうした戦術的意図はほとんどうかがえませんでした。攻撃が少しでも形になったのは、左サイド高目の位置であまり守備にも参加せずぶらぶらしていたヨルゲンセンにボールが渡った時のみ。ボネーラとマルキオンニに挟み込まれて1対2になっても、それを振り切り中央にクロスを送るだけの突破力には脱帽です。残念なのは、左SBのキエッリーニが、間延びした陣形に加えてマルキオンニに押し込まれていたせいもあって、ほとんど効果的なオーバーラップを見せられなかったこと。逆に右サイドは、しばしばSBウイファルシが攻め上がったのですが、SHアリアッティともども、違いを作り出せるほどのクオリティの持ち主ではないので、危険な状況を作り出すまでには至りませんでした。前線の2トップは、動きがまったく噛み合っていませんでした。中央で攻撃の基準点となるべきポルティージョが、2CBのタイトなマーク(というかフィジカルコンタクトそのもの)を嫌って落ち着きなく(そして意味なく)動き回り、やや下り目の位置を取ったミッコリも本能の命じるままに動き回り、という感じ。どちらか一方がボールを持った時にそれに反応して動くとか、相手のためにスペースをつくるとか、そういうシンクロニズムはまったく見られません。前半45分を通じて、流れのなかからのシュートは実質0本。ポルティージョはシュートそのものが0本。——後半15分にモンドニコ監督は、その2トップを下げて代わりにファンティーニと中田を送り込みました。縦の動きで攻撃に奥行きを作るファンティーニが加わったことで、フィオレンティーナの攻撃はだいぶ活性化されます。そのファンティーニが左から中に持ち込んで、逆サイドから中央に走り込んだアリアッティをGKと1対1にする決定的なアシストを送ったのは、交代直後のことでした。しかし、フィオレンティーナにとってはこの試合唯一の決定機だったこのシュートは、フレイにしっかりブロックされます。——中田はトップ下というよりはセコンダプンタと言った方がいい前寄りの位置で、パスを引き出すべく動き回りますが、周囲との呼吸がまったく合わず、ほとんどパスをつけてもらえません。ピアンジェレッリやキエッリーニが、中田が動いてフリーになっているのを無視して、ヨルゲンセンやファンティーニを探す場面が何度もありました。練習に合流してまだ日が浅いということもあるのでしょう、中田に預ければ大丈夫、という信頼関係がまだほとんど構築できていないように見えました。昨シーズン、ボローニャに移籍した時は、最初から周囲が頼りにしてくれたのですが、今回はそうではないようです。毎日の練習、そして試合を重ねる中で、チームメイトの信頼を勝ち取っていく必要があるということでしょうか。もう少し時間が必要なようです。——しかしフィオレンティーナの最大の問題は、守備と攻撃の戦術がちぐはぐなことです。ラインを上げずに引き気味の布陣で守るのを基本にするなら、攻撃は、キープ力のある大型センターフォワードを前線に配して押し上げの時間を稼ぐか、あるいはカウンターに徹するか、そのどちらかにならざるを得ないはずなのですが、昨日の先発メンバーはそのどちらでもありません。むしろ、ファンティーニと中田の2トップの方が、強力なカウンターが期待できる分ずっといいと思います。逆に、前線にミッコリとポルティージョを置くなら、上で触れた通りコンパクトな陣形を保つなり両ウイングを活かすなり、それなりの対応が必要のはず。——結局のところ、このフィオレンティーナにはやはり、このチーム唯一の大型センターフォワードであるリガノーの存在が不可欠、という結論にならざるを得ません。だとしたら、その代役を獲っておかなかったのはルッケージDGのミス、ということにもなるわけですが。——モンドニコ監督が構想する本来の最終ラインは、おそらく右からマッジョ、ウイファルシ、ダイネッリ、キエッリーニという構成なのでしょう。これでGKがルパテッリなら、ラインは今より10mは上げられます。システムが4-2-3-1なら、ボランチはピアンジェレッリとマレスカ(オボド)、3+1の前線は、右からヨルゲンセン、中田、ミッコリ(ファンティーニ)、1トップにリガノー。故障者が全員復帰して、この布陣(ちょっと入れ替わりがあるかもしれませんが)で戦うフィオレンティーナを見るまでは、モンドニコ監督への評価は保留すべきだ、というのが、まっとうな意見でしょう。問題はそれがいつになるのか、そしてその時までフィレンツェ(クラブ、マスコミ、サポーター)の忍耐力が持つのか、というところにあるわけですが。——フィオレンティーナのことを長々と書いていたら、パルマに触れる時間がなくなってしまいました。まあ、大筋は第1節のメッシーナ戦
とあまり変化ありません。モルフェオが戻って攻撃にだいぶアクセントがつきましたが、全体的にはまだ攻守のバランスがいまひとつ。でも、いまだ未勝利とはいえ、内容的にはフィオレンティーナよりずっと筋がいいように見えます。若いチームだけに、まだ時間がかかるのは同じですが、バルディーニ監督が幸運なのは、パルマの人々がフィレンツェの人々よりずっと忍耐強いところか。■
Posted: 火 - 10月 5, 2004 at 12:52 午前