SERIE A 6^ GIORNATA (anticipi) セリエA第6節(その1)


順位表はこちら

代表ウィークが明けたと思ったら、今度は間髪を入れず欧州カップウィーク。きょう土曜日は、火曜日にチャンピオンズ・リーグを戦うローマとユヴェントスが、セリエAを先に消化しました。両チームともまあ順当勝ちでしたが、火曜日にユーヴェはバイエルン、ローマはレバークーゼンとの対戦が控えています。その翌日は、ミラン対バルサ(!)とヴァレンシア対インテルも組まれており、さらに来週末にはミラノダービーまであるという好カードづくし。秋の深まりとともに欧州戦線も本格化してきました。

◆Juventus 2-1 Messina
デッレ・アルピは例によってキャパの半分にも満たないスカスカの入り。しっかり埋まっているのは、ユーヴェ・ウルトラスの陣取るクルヴァ・シレーアと、遠路はるばるやってきた(鉄道だと1300km+フェリーという気の遠くなるような距離。片道まるまる一昼夜の旅です)熱きメッシーナサポ3000人+北部在住のメッシーナ出身者5000人でぎっしりのアウェーサポーター席のみ。
ユーヴェのホームゲームでは、試合前の選手紹介に、スタジアムのアナウンサーが「Numero Uno, Gianluigi....」と、背番号と名前を呼び、それにクルヴァが「Buffon!!!」と苗字を返す、掛け合い方式(といえばいいでしょうか)が採用されています。これは決まるとなかなかかっこいいんですが、やたら広々として風通しがいい上に半分以上空席のスタジアムでそれをやると、クルヴァの声があまり響かなくて、しょぼいことこの上なし。おかげで、アナウンサーが「Buffon!!!」というところまで自分でやってあげるという、かなり情けない始末になっています。選手紹介が終わると、試合に向けた熱気を盛り上げるために、オフィシャルの応援ソングが大音量で流れるという段取り。ところが「Forza la Juve la Juve la Juve~~」というユーヴェのそれは、時代から遠く取り残された80年代風ディスコサウンド。情けない選手紹介に続いて、このあまりにもグッドなビートががらがらのデッレ・アルピに流れるたびに、脱力して哀しい気持ちになってしまうのは、ぼくだけではないはずです。近々、収容人員を4万人まで縮小するデッレ・アルピの大改築工事を計画しているユヴェントスFC株式会社(ミラノ証券市場上場の優良企業です。ただし前期決算は1850万ユーロの赤字)の経営陣の皆さんも、きっとそうなんじゃないでしょうか。
さて肝心の試合。トレゼゲが肩の手術をすることになり、おまけにデル・ピエーロが故障中という非常事態のユーヴェは、前線にありあわせのFW2枚(ズラタン、ザラジェータ)を並べた4-4-2。左サイドを起点にして、敵のDFラインの前を動き回るネドヴェドと、中盤センターで攻撃を組み立てるエメルソンが頼りです。そのエメルソンが加わってビルドアップの質が飛躍的に向上したこともあり、最終ラインからのロングパスはすっかり影を潜めて、グラウンダーの速いパスをしっかりつなぎ、落ち着いて、しかし無駄なく攻撃を組み立てます。最後の30mは、ネドヴェド、カモラネージの突破やコンビネーションによる崩しがメイン。
それに対するメッシーナのムッティ監督は、アウェーでアップセットを決めたミラン戦と同じように、本来DFのザンキを中盤に配して、キープレーヤーであるネドヴェドにべったり貼り付けました。ただし、ミラン戦ではザンパーニャの1トップだったのが、今回は好調のディ・ナポリも起用しての2トップ。代わりにスッロがベンチスタートとなりました。陣形は一応4-4-2なんですが、実際には、ほとんどマンツーマンの左右非対称な布陣です。ユーヴェの2トップを2CBと右SBのゾロの3人でケアし(ゾロの対面になるはずのネドヴェドはザンキが見ている)、左SBのパリージは、やや上り目の位置でカモラネージを1対1でケア。中盤は、右サイドのジャンパーがワイドに構えてザンブロッタのオーバーラップをけん制し、ボランチのコッポラ、ドナーティは相手のボランチと2対2の関係。左サイドハーフは不在で、そのかわりザンキがネドヴェドを追い回し、空いた左サイドのスペースには2トップのどちらかが下がってきて、ゼビナが上がる道を遮る——という構図です。図にしないとわかりにくいかもしれませんが、いずれにしても、最終ライン、中盤ともに、ボールではなく人を基準にして動いており、マークの受渡しも最小限。事実上マンツーマンディフェンスでした。
ムッティ監督は、ユーヴェの実力が明らかに上だと見て、被害を最小限に抑えようという守備戦術を敷いたのかもしれませんが、それなら2トップではなく1トップにして中盤で数的優位を作る必要がありました。ボールホルダーとの関係が常に1対1になっていると、いくらタイトにマークしたところで、結局は実力で上回る選手が局面を制するのは道理です。少なくとも、それで90分持たせようというのは、ちょっと厳しかったように思います。もし4-5-1ならば、中盤のコッポラなりドナーティなりスッロなりがダブルマーク要員として局面をサポートできたのでしょうが——。4-4-2で行くならば、むしろネドヴェドにマンマークをつけるような小細工はせずに、自分たち本来のサッカーをした方が、どうせ負けるにしてもずっといいような気がします。
果たして、メッシーナは前半4分に一度、ザンパーニャが遠目の位置からシュートを打ってCKをひとつ取っただけで、あとはひたすら守勢一方。実直なマークでよく防戦しているのですが、ボールを奪ってからのプランはゼロで、パスを3本つなぐ間に取り返されてまたディフェンス、という展開が続きます。特に、「海峡のロベルト・カルロス」こと左SBのパリージは、左足は一級品ですが守備にまだ課題を多く残しており、対面のカモラネージに翻弄されるばかり。周囲の味方は、みんな自分の担当の仕事で手一杯なので全然サポートに来てくれません。立ち上がりから何度か、ファウルで止めてごまかしていましたが、26分にはあまりに簡単に鋭いクロスを上げさせてしまい、それをザラジェータがしっかり決めて1ー0。
ムッティ監督のマンマーク戦法は、0ー0のまま守り倒して1ポイントお持ち帰りを狙う(もしカウンターやセットプレーで1点決めちゃったら大儲け)というのがコンセプト。攻撃の戦術などほとんど考えていないだけに、1点取られたらもうお手上げです。とりあえず残りの20分をなんとか我慢してやり過ごし、後半から開き直るしかありません。
というわけで後半は、最終ラインのウィークポイント(フスコの故障が痛い)であるCBコンテを下げて、替わりにMFスッロを入れるという修正を加えてスタート。右SBのゾロ(将来有望な象牙海岸人)をCBに移し、その後には中盤からザンキを下げて4バックを保ち、スッロは空白地帯だった左サイドハーフに入るという形です。しかしそのスッロは、ユーヴェにおけるネドヴェドと同じように、どんどんトップ下のスペースに入っていって、ディフェンスをかきまわします。中央どころか、しばしば右サイドまで流れていってそこで数的優位を作り、いやらしいクロスを再三中に折り返してチャンスメイク。
だから最初から小細工なんかしなきゃよかったのに、とか呟いていたら、後半9分、ユーヴェが奪ったボールを素早く前線に展開します。右サイドに流れたイブラヒモヴィッチが、圧倒的な力量差をひけらかすようにレザエイを1対1で料理して低くて速いクロス。それをネドヴェドが難なく決めて2ー0。やっと攻撃のリズムを見出しつつあったメッシーナにとっては、痛いことこの上ない失点でした。やはりまともにやりあったら、実力差が出てしまうのは仕方ないところ。
しかし、これで決まりかと思いきや、ユーヴェに2点リードされても諦めずに最後まで戦う姿勢を見せるところが、メッシーナのいいところです。躍進の秘密もきっと、そういう謙虚で真摯なメンタリティにあるのでしょう。どっちにしろ失うものはないんだから、とばかりに、思い切りのいい攻撃を見せ続けます。キープレーヤーは相変わらず、敵ボランチの背後で動き回るスッロ。後半23分には、そのスッロが右サイドから絶妙のクロスを送り込み、それをザンパーニャが決めて2ー1と詰め寄ります。
イタリアでは、2点差がつくとすぐに「これで試合は終わった」という言い方をしておいて、負けているほうが1点差に詰め寄ると「これで試合がまた始まった」と言って盛り上がるという楽しみ方をするのですが(プレーしている方もそう思いながらやっているふしがある)、この試合もまさにそれ。ガソリンが徐々に切れて来て、そろそろ安全運転に入ろうとしていたユーヴェはちょっと焦り始め、ムッティ監督はここぞとばかりに、ボランチのドナーティを下げてFWの柳沢(!)を投入してさらに押し込もうとします。スッロがドナーティの位置に下がり、柳沢は、3トップの一角というよりもトップ下といった方がいい位置でプレー。この時点でシステムは3-4-1-2(左SBのパリージももはや中盤と同じ高さに常駐)、中盤から上に守備的な選手はコッポラ1人という、とんでもなく前がかりの布陣になりました。まったく、あのスタメンは何だったんだという感じですが、ここまでやると逆にチームはアンバランスになって、組織としてうまく機能しなくなってしまいます。ユーヴェが落ち着いて試合を「殺しに」来たこともあって、最後の20分は、メッシーナが押しているように見えながらも、本当に危険な場面は起こらないという展開。大人のゲームマネジメントを見せたユーヴェが、順当に勝利をものにしたのでした。いい加減長くなったので、柳沢については、機会を改めて。
◆Roma 2-0 Livorno
デッレ・アルピに行ったので、観てません。ニュースを観て気づくことがあれば明日。■

Posted: 日 - 10月 17, 2004 at 01:31 午前        


©