ITALIA QUASI AI MONDIALI
欧州予選もぼちぼち大詰め
セリエAの開幕戦が終わると国際Aマッチウィークがやってくるというのは、毎年恒例です。ヨーロッパはワールドカップ予選が大詰め。ウクライナが初出場を決めたり、イングランドがベルファストでコケたりと、だいぶ盛り上がってきました。順位表はこちら
。グループ5のイタリアは、組み合わせに非常に恵まれたこともあり、多少の躓きはあったものの問題なく首位をキープしています。土曜日にはグラスゴーでスコットランドに引き分け止まりだったものの、昨日ミンスクでベラルーシに4-1と大勝。いずれもホームで戦う残り2試合(相手はスロヴェニアとモルドヴァ)で1ポイント挙げれば1位抜けが確定するので、すでに事実上ドイツ行きは決まったと言っていいでしょう。過去には、そういう状況でイスラエルとブルガリアに連敗して出場権をドブに捨てた93年のフランスの例もありますが……。以下、今回の2試合についてざっと触れておきます。◆Scotland
1-1
ItaliaFIFAランキング86位(UAEや北朝鮮とご近所)のスコットランドとはいえ、圧倒的な声量を誇るホームの観客に支えられると、実力の5割増しくらいの力を発揮するもの。イタリアは、「これからはどこが相手でもどんな試合でもアタッカーを3人使う。強い国はみんなそうしている。イタリアがそうしない理由はない」とのたまい、攻撃的なメンタリティをチームに浸透させようと試みるリッピ監督の期待に応えて、立ち上がりからガンガン攻め立て……たのはいいんですが、前半13分、攻め上がった左SBザンブロッタの裏を衝かれて簡単にクロスを上げられ、それを1トップのミラーに決められて先制を許してしまいます。ミラーはイングランド1部のウォルヴァーハンプトンでプレーする凡庸なFWですが、運動量とスピードを生かして献身的かつ実直にプレーする、好感の持てる選手。昨日もアウェーでノルウェーに2ゴールを決め、今度はイタリアを助けてくれました。このゴールは、最終ラインのマークがズレまくって、本来ならばカンナヴァーロかネスタがマークすべき敵の1トップをフリーで走り込ませてしまうという、非常に困ったミスから生まれたもの。試合の翌日、慌ててヘディングを競りに行ったもののシュートを許してしまった右SBのザッカルドに、マスコミの集中砲火が浴びせられましたが、それは筋違い。問題にするべきは、中盤も含めた守備組織でしょう。その後は、ひやっとする場面も一、二度あったものの、全体的にはイタリアのペース。しかし、リッピがピッチに送り出したヴィエーリ、イアクインタという謎の2トップはうまく動きが噛み合わず、トップ下のトッティはマーカーに張り付かれてなかなか前を向けないなど、フィニッシュにつながる攻撃の最終局面が作れないまま前半終了。歯車が噛み合うようになったのは、後半、デ・ロッシに替えてカモラネージ、イアクインタに替えてトーニが入ってからでした。まあそれ以上に、前半から遮二無二プレッシングを続けていたスコットランドのバッテリーが切れて、中盤にスペースができてきたことの方が大きかったかもしれません。後半31分、CKからのこぼれ球を、やはり途中出場していたグロッソが押し込んで何とか同点。相手のレベルを考えれば不本意な結果とはいえ、アウェーでの勝ち点1は、どんな時でも無駄にはならないものです。◆Belarus
1-4
Italia4-3-1-2というシステムは固定しながらも、前線の2トップをトーニ、ジラルディーノに入れ替えてのベラルーシ戦。立ち上がりに守備陣が不安定なのは相変わらずで、開始早々の3分にまたも先制点を許してしまいます。しかも今度はオフサイドトラップのかけ損ない。どうしたサンドロ。月曜日のエル・ゴラッソにもちょっと書きましたが、イタリアはもはや“カテナッチョ”の国ではありません。ネスタとカンナヴァーロを除けばワールドクラスのディフェンダーは見当たらず、右サイドバックなんて致命傷になりかねないほどに深刻な人材不足です。リッピが攻撃サッカーを掲げるのは、もちろん彼のサッカー観や戦術思想に因るものでしょうし、人材豊富な攻撃陣を生かすというのは理に適った選択であるわけですが、強敵相手に1点を守り切るような戦いをできるだけの人的リソースがないということも、それと同じくらい大きな要因であるように見えます。さて、4日前と違ったのは、先制されてからすぐにイタリアが反撃に転じたこと。ベラルーシ(FIFAランキング61位=ウズベキスタンのひとつ上)は、昨年パルマで対戦した時にさんざんイタリアを悩ませたロマシェンコ(ディナモ・モスクワ)が故障で欠場しているとはいえ、A.フレブ(アーセナル)、クトゥゾフ(サンプドリア)を擁する攻撃陣の質はまずまずのレベルにあります。しかしディフェンスは並以下。4-4-2の2ラインの間でトッティを自由にしてしまっては、イタリアが前線にボールを供給するのを阻止することはできません。先制された1分後に、そのトッティが左サイドを駆け上がったグロッソにいいタイミングで開き、そこからのクロスをニアに詰めたトーニが押し込んで1-1。14分にはやはりトーニが、カモラネージがラインの裏に通した浮き球のアシストを胸トラップからそのままボレーで決めて2-1。その後もイタリアが10本近いシュートを浴びせ、前半ロスタイムにカモラネージが決定的な3-1を叩き込んで、事実上の決着をつけました。昨年10月にパルマで戦った時には、前半を2-0で折り返しながら後半のスコアは2-3、何とか4-3で逃げ切るという締まりのない展開になったのですが、今回は後半10分には前3人のカウンターからトーニがハットトリックとなる3ゴール目を決めて4-1。その後も手を緩めずに主導権を握り、最後まで受け身に回ることなく戦い切りました。これは、カテナッチョの看板を下ろしたチームとしてはいい兆候です。ちなみに、グループ5の2位争いは、ノルウェー、スロヴェニア、スコットランドの三つ巴。土曜日にアウェーの直接対決を制したノルウェーが優位に立ったかに見えましたが、昨日ホームでスコットランドに敗れて、せっかくのリードをふいにしたばかりか、スコットランドを復活させてしまいました。ただ、残り試合を見ると、スロヴェニアとスコットランドが潰し合いをしなければならないのに対し、ノルウェーはモルドヴァ、ベラルーシとの対戦を残しているだけなので、有利な立場に変わりはありません。欧州予選も残り2試合。せっかくなので、他のグループの状況にも触れておきます。もうとっくに御存じでしょうが、自分用に整理するついでということで。グループ1:オランダ28、チェコ24、ルーマニア22……チェコは、土曜日にホームでルーマニアに敗れて(ムトゥの2ゴール)1位抜けの可能性がほとんどなくなりました。10月8日にオランダとの直接対決で勝っても、まだ1ポイント下です。2位になっても、8グループの中で勝ち点が多い順に2チームは直接出場権を獲得できるのですが、ぼくの計算が間違っていなければ、チェコは連勝が条件になるはず。グループ2:ウクライナ24、トルコ20、ギリシャ18、デンマーク16……ウクライナは土曜日にグルジアと引き分けた時点で出場権が確定。気が抜けたのか、昨日ホームでトルコに勝ち点3を献上し、復活を助けています。出遅れていたデンマークは、土曜日にそのトルコとアウェーで引き分けた時点でほぼ万事休す。日韓2002、ユーロ2004と本戦でグループリーグを突破したチームが(たぶん)敗退するのですから、欧州予選は厳しい。2位はギリシャかトルコになるわけですが、いずれにしてもプレーオフに回ることになるでしょう。グループ3:ポルトガル24、スロヴァキア19、ロシア19、ラトヴィア15……ここは比較的楽な組み合わせでした。ポルトガルは順当に首位キープ。2位争いは伝統国ロシアと新興スロヴァキアの戦い。ユーロ2004でプチ旋風を巻き起こしたラトヴィアは、すでに脱落しています。グループ4:スイス16、フランス16、イスラエル15、アイルランド13……フランスが崖っぷちのアイルランド戦をアンリのゴールで制して、土曜日にイスラエルと引き分けたスイスに並びかけました。スイスは残り2試合がフランス、アイルランドということで、たぶん最後には滑るのでしょう。フランス1位、アイルランドがプレーオフへという展開か。グループ5:イタリア17、ノルウェー12、スロヴェニア12、スコットランド10……上で触れた通り。他のグループと勝ち点を比較していただいてもわかる通り、やや低次元の争い。イタリアもアウェー5試合が2勝(下から2チーム)2分(ノルウェーとスコットランド)1敗(スロヴェニア)ですから、首位とはいえ威張れたものではありません。グループ6:ポーランド24、イングランド19、オーストリア12……上2チームはすでに決まり。あとは順位ですが、もしこの後イングランドが連勝してポーランドを抜いても、すでに勝ち点24を挙げているポーランドは、おそらく2位の中で上2つに入って直接出場権を手に入れることになるでしょう。イングランドは連勝しない限り2位でプレーオフ。エリクソンの立場はかなり微妙ですが、じゃあクビにして誰がいるんだと考えると……。グループ7:セルビア=モンテネグロ16、スペイン14、ボスニア13、ベルギー11……理屈の上では4位ベルギーにまで首位通過の可能性が残っていますが、実質的にはプラーヴィとスペインの一騎討ち。スペインにとって、昨日のホームでの引き分けは負けに等しいリザルトです。プラーヴィは最後のボスニア戦が鬼門か。グループ8:スウェーデン21、クロアチア20、ハンガリー13……ここはハイレベルの一騎討ち。10月8日のザグレブでの直接対決でクロアチアが負けない限り、最終的な順位に関わらず、両チームともプレーオフなしで出場権に手が届くのではないでしょうか。というわけで引き分けに100ユーロ。勝ち点を見ると、2位になってもプレーオフなしで出場権を獲得しそうなのは、グループ1のチェコ、グループ6のポーランド、グループ8のスウェーデン(クロアチアも可能性あり)。となるとプレーオフに回る国は、トルコorギリシャ、ロシアorスロヴァキア、アイルランドorスイス(フランス?)、ノルウェー、スペイン(ボスニア?)+上からこぼれてきた1チーム(またはイングランド)という感じになるでしょうか。こうしてみると、スペイン、イングランド、フランスあたりは、ドイツまでたどり着けない可能性すらあります。10月に行われる欧州予選最後の2試合は、毎回とんでもないドラマが起こるもの。チャンピオンズリーグと各国リーグも、この1ケ月は代表との関連でチェックする必要がありそうです。■
Posted: 木 - 9月 8, 2005 at 05:31 午後