E' DAVVERO DA RIFONDARE? ディフェンダーのせいじゃない


CLとスクデット、目標としていたタイトルが2つとも遠ざかってしまったこともあり、早くも来期のチームづくりにマスコミの注目が移った感もあるユーヴェ。あしたの「スポマガ」コラムには監督人事の話を書いたので、ここではちょっと全体的な分析など。

25試合を消化した時点での、昨シーズンと今シーズンの成績を比較すると以下の通り。
◇02-03シーズン:17勝6分2敗(57ポイント・1位/48得点16失点)
◆03-04シーズン:17勝4分4敗(55ポイント・3位/51得点30失点)
試合結果だけから見れば、2位インテルに4ポイント差をつけ堂々と首位を走っていた昨シーズンと比べても、引き分けが2つ少ないだけの違いでしかありません。確かに今シーズンはミランに9ポイントもの差をつけられてしまったわけですが、それはミランが前人未踏のペースで勝利を積み重ねているせいであって、ユーヴェが不甲斐ないせいではないでしょう。たまに何もタイトルが獲れないシーズンがあったからといって、そんなに騒ぐことはありません。CLの敗退だって、トレゼゲ、デル・ピエーロ、ザンブロッタと主力をまとめて故障で欠いたことが大きな原因。勝ったデポルの方を褒めるべきです。
数字を比較して最も目につくのは、失点が16から30とほぼ倍増していること。これをもって、高齢化したディフェンス陣の責任とする向きが多いんですが、それも必ずしも当てはまらないような気がします。ミランの最終ラインは、右からカフー(34歳)、ネスタ(28歳)、マルディーニ(36歳)、パンカロ(33歳)。今シーズンはネスタが故障がちで、その穴を埋めるのは37歳のコスタクルタですから、高齢化だけならこっちの方がずっと深刻です。
失点が多いのは、最終ラインよりもむしろ、中盤に問題があるから。今シーズンのユーヴェが抱える最大の問題点は、中盤のフィルター機能の低下です。具体的には、契約問題のこじれからダーヴィッツを「干した」ことが直接の原因、と言い切ってもいいくらい。後継者ということになっているアッピアーは、テクニックと攻撃力ではダーヴィッツを上回るかもしれませんが、守備におけるアグレッシブさ、ボール奪取能力、そして危険察知能力を初めとする戦術センスでは明らかに劣ります。まだ23歳ですから、当然といえば当然なんですが。
いずれにしても、ダーヴィッツを欠いたことで、激しいプレッシングで相手の攻撃を遅らせ、高い位置でボールを奪う中盤の機能が大きく低下して、最終ラインが早いタイミングで敵の攻撃に晒される回数がはっきりと多くなりました。フェラーラ(レグロッターリエ)、モンテーロのCBペアは、ネスタやマルディーニのようにスーパーではないにせよ、セリエAではまだまだトップレベル。ただしスピードや敏捷性は彼らの強みではありませんから、中盤のフィルターなしでラインを高く保つことを彼らに要求するのは、あまりに酷というものです。ミランにはガットゥーゾがいるし、ローマにはダクールとリマがいますが、ユーヴェにはインコントリスタが不在。ディフェンスは最終ラインだけでやるものではありません。
そう考えると、失点倍増の最大の責任者は、モンテーロやフェラーラよりもむしろ、ダーヴィッツを強引に干したモッジ(とジラウド)の方だと言ってもいいかもしれません。元々は、ダーヴィッツが契約延長のオファーを拒否し、契約満了のあと移籍金ゼロでユーヴェを去ることを選んだことに対する懲罰というかイジメだったわけですが(ウディネーゼがピザーロに対して行ったのも同じことです)、これは明らかにクラブ側の横暴です。昨日獲得を発表したフランス代表のカポ(オーゼール)だって、同じように移籍金ゼロで連れてくるわけで、合法的にフリーになる道を選んだダーヴィッツにユーヴェが文句をいう筋合いはありません。そうやって自ら作った穴を埋め切れずにこういう結果を招いたわけですから、これは首脳陣の自業自得というしかないでしょう。
まあともかく、今シーズンはもはやコッパ・イタリアしか残されていないわけで(ミランが自滅すれば別ですが)、これからはピッチ上のことよりも来シーズンに向けてのチームづくりが、ユーヴェをめぐる話題の中心になるのでしょう。例によってマスコミは「大改革」を煽り立てていますが、今のユーヴェにそれが必要かどうかは、個人的には甚だ疑問です。噂通りデシャンかデル・ネーリが来るにせよ、リッピが残るにせよ、ネドヴェドを売るにせよ売らないにせよ、チームの土台は4-4-2。どうしても補強が必要なのはインコントリスタとセンターバック1枚くらいで、できればそれに控えのプリマプンタと右ウイング、サイドバックを加えれば、かなり質の高いチームになるはずです。インコントリスタにはブラージ(ナンドロロン検出で謹慎中)、控えのプリマプンタにはチプリアーニ(サンプに貸出し中)と、手持ちの選手がいるし、カポも獲ったしで、補強といっても、ピンポイントであと2、3人押さえれば十分ではないでしょうか。もちろん、もっと大盤振舞いをしてもいいわけですが、ユーヴェは今シーズン末の決算が赤字必至で、しかも新練習場建設とデッレ・アルピ改修を控えているので、資金的には大型補強の余裕などありません。
ユーヴェは、財政を健全に保ちながらスクデットとCLを争う戦力を維持し続けるという難題をクリアしてきたイタリアで唯一のクラブ。かなり限られたリソースの中でどんな手腕を発揮するか、モッジとジラウドの次の一手には興味をそそられるところです。■

Posted: 火 - 3月 16, 2004 at 05:46 午後        


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