CHAMPIONS LEAGUE SEMIFINALE (ritorno): DEPOR 0-1 PORTO
チャンピオンズ・リーグ準決勝その1
第1レグの0-0を受けてリアソールで戦われた第2レグは、予想通り非常にタクティカルな試合でした。
ポルトはアウェーにもかかわらず立ち上がりからプレッシング全開、デポルに落ち着いてボールを動かす余裕を与えません。この試合、モウリーニョは前線からマッカーシーを外し、12月に膝の靭帯を断裂して今期絶望のはずだったデルレイを起用してきました。若いカルロス・アルベルトとの2トップは、かなり開き気味の位置でプレーし、守備の局面になるとCBではなく左右のSBに積極的にプレスをかけに行きます。これでデポルは、両サイドバックのオーバーラップが封じられた格好。ヴィクトール、ルケの両ウイングは必然的に単独勝負を強いられますが、これもポルトの両SBとSHが素早いダブルマークで潰しにかかります。となるとデポルの攻め手は、中央のヴァレロンだけということになりますが、そのヴァレロンが体調不良(熱とのどの腫れ)の上に、コスティーニャにマンツーマンで貼り付かれて身動きが取れず。どうにも手詰まりになってしまいました。
かといってポルトも、両SB(パウロ・フェレイラとヌーノ・ヴァレンテ)はほとんど上がらず、両SH(マニシェとメンデス)はシステム上、内に絞ってのボランチ的な仕事が比較的多くなるだけに、攻撃に人数がかけられるわけでもなく、もっぱらデコ1人に頼ることになります。が、こちらはヴァレロンと違って絶好調。ほとんど1人で攻撃を組み立て、ボールをキープし、攻め上がり、ラストパスを出すという獅子奮迅の働きを見せます。まあ、決定機を作るまでには至らないのですが、ボールポゼッションでは完全にポルトが上回る展開になりました。
イタリアとは違って、スペインやポルトガルのテクニカルなサッカーではボールポゼッションが大きな重要性を持っています。デポルのイルレタ監督は前日のインタビューで「ポゼッションで上回ったチームが勝つだろう」と言っていましたが、結局はその通りの結果になりました。
とはいえ、最初にチャンスらしいチャンスを掴んだのはデポルの方。前半の半ば過ぎ、ヴァレロンらしい浮き球のスルーパスに反応して裏に抜け出たパンディアーニがギリギリでオフサイドとなり、さらに終わり近く、セットプレー(たしか)からのこぼれ球がゴール前でどフリーだったヴァレロンの目の前に落ちてくるというラッキーな場面が生まれました。ところがヴァレロンは自分がオフサイドだと勘違いしたのか、集中を欠いたようなボレーでこれを枠から外してしまいます。本当に数少なかったチャンスのひとつだっただけに、このミスはチームの士気にも少なからず影響を与えたように見えました。
ポルトがボールを支配するものの、デコ頼りで攻め手に欠けるという展開は後半になっても変わりませんでしたが、59分にそのデコがドリブルで持ち込み、セサールの不用意なファウル(エリアの外でスライディングを仕掛けたつもりで、ラインの内側でデコを引っ掛けてしまった)を誘ってまんまとPK。デポルはマウロ・シルヴァとジョルジュ・アンドラーデという守備の要2人を欠きながらもよく守っていたのですが……。その後、ナイベトが2枚目のイエローをもらって退場になり、デポルが10人になった時点で、事実上試合の決着はついたと言っていいでしょう。
内容的にはセリエAのある種の試合(や昨年のCL決勝)と同様にタクティカルで退屈でしたが、欧州屈指の戦術家が腕を競ったと見れば、それはそれで結構興味深い戦いだったと思います。結果もPKというすっきりしない形ではありましたが、全体としてみれば総合力で上回ったポルト(この2試合に関しての話です)の順当な勝利といえるのではないでしょうか。
ポルトは、豊富とはいえない持ち駒を的確に使ってデポルの攻め手を封じ、積極的かつアグレッシヴなプレッシングで試合の主導権(何よりも心理的なそれ)を握りに行って、攻撃の最終局面はデコのタレントに委ねるというモウリーニョのゲームプランを、忠実に遂行しました。一方のデポルは、“ピッチ上の監督”たるマウロ・シルヴァを出場停止で欠いていた上に、キープレーヤーのヴァレロン、ルケが共に体調不良、しかもサブ組は土曜日のレアル戦で疲れているとあって、さしものイルレタ氏にもあまり手の打ちようがありませんでした。
ちなみにモウリーニョは試合後、イタリアのTVの記者に「来シーズンはチェルシーに行くということでいいんですよね?」と訊かれて「いや私の口からそんなことをいうわけにはいきませんよ。でもポルトにはもういないことは間違いありません」といいつつ、事実上の肯定としか受け取りようのない照れたような微笑みを浮べていました。モウリーニョは、試合中はクールで強面のように見えますが、試合後にイタリアのTVからインタビューを受ける時には、いつもけっこうリラックスしておりよく笑い顔を見せます。流布しているイメージとはやや違う人のような気がします。
チェルシーの件に関しては、ラニエーリもすでに「CLで優勝しても続投はない」と言い切っていますので、すでに決定事項と考えていいんでしょう。インタビューを読んでも「ロブソンからは攻撃を、ファン・ハールからは守備を学んだ」とか「ポルトでは4-4-2と4-3-3を使っているが、理想は3バックだ。言っておくが、実質5バックの3センターバックではなく、正真正銘の3バック、例えばアヤックス・スタイルの3-4-3だ」とか言っているので、チェルシーでどんなサッカーを見せてくれるのか非常に楽しみです。
蛇足ですが、“正真正銘の3バック”に関しては、ぼくはスタム、ネスタ、マルディーニというのを楽しみにしています。中盤から上は、ガットゥーゾ、ピルロ、セードルフ/カカ/カフー、クレスポ、シェフチェンコなんていうのはどうでしょうかカルロさん。まあでも、3-4-1-2にしてカフーを中盤に上げるというのなら、かなり現実的な話のような気がします。■
Posted: 火 - 5月 4, 2004 at 01:03 午前