POCHI RICCHI E TANTI POVERI 二極分化が進む欧州サッカー


各国のリーグ戦(プレミア除く)が冬休みに入ったところで、イタリア、スペイン、イングランド、ドイツ、フランスの5大リーグの順位表をひとしきり眺めてみました。そこですぐに気づいたのは、国際的な知名度を誇る一握りのビッグクラブと、「その他大勢」のドメスティックな中小クラブとの二極分化が、ますます進行しているということです。
そろそろシーズンが折り返し地点を迎えようというこの時期に、スペイン、イングランド、ドイツの3カ国では、首位から10ポイント圏内にいるのがわずか3チーム。しかも、4位以下との間には6〜13ポイントという大きな溝があり、完全に3強+その他大勢という構図ができ上がってしまいました。

——スペイン(レアルM39、ヴァレンシア36、デポル33|オサスナ27...)
——イングランド(マンU40、アーセナル39、チェルシー39|サウザンプトン26...)
——ドイツ(Wブレーメン39、バイエルン35、レヴァークーゼン35|ボーフム26...)

イタリアでは、10ポイント圏内に5チームが名を連ねていますが、6位以下とのギャップは明らか。唯一、順位表の「つながり」が比較的いいのはフランスですが、ここは逆にモナコの一人勝ち(2位と7ポイント差)で、2位以下がドングリの背比べという状況になっています。

——イタリア(ローマ36、ミラン30、ユーヴェ30、インテル28、ラツィオ28|パルマ24...)
——フランス(モナコ42|リヨン35、PSG35、ソショー34、オーゼール32、マルセイユ30...)

5大リーグで首位から10ポイント以内にいるクラブを数えると、全部で19あるのですが、象徴的なのは、そのほぼ2/3にあたる11のクラブが、ヨーロッパのビッグクラブ連合ともいえるG14 のメンバーだという事実。現在G14には18のクラブ が加盟していますが、そのうち、各国リーグで首位争いに絡んでいないのは、バルセロナ、リヴァプール、ボルシア・ドルトムント、マルセイユの4チームに過ぎません。
逆に、G14のメンバーでないのに首位争いに絡んでいるのは、ローマ、ラツィオ、デポル、チェルシー、ヴェルダー・ブレーメン、モナコ、オーゼール、ソショーの7チーム。大半は欧州カップの常連であり、いつG14に加わってもおかしくないクラブです。いつ潰れてもおかしくないクラブもありますが。
これは要するに、これら一握りのクラブが各国リーグのタイトルと欧州カップの参加権をほぼ完全に独占する形で、欧州サッカー勢力地図の固定化が進行している、いやほぼ完成しつつあるということでしょう。
多くの国で衛星ペイTVの国内市場が破綻を来たした今、ビッグクラブの財政を支えているのは、世界的な人気を誇る欧州カップからの収入(TV放映権、UEFAからの分配金)です。国際市場から資金を集めなければ、欧州トップレベルでの競争に耐えていけない時代になってきているわけです。アジアやアメリカへの巡業が盛んになってきているのも、まさにそれゆえのこと。
「各国リーグの上位陣固定化→欧州カップの出場クラブ固定化」という流れが、「持てる者」と「持たざる者」の格差をますます広げる方向に働くことは避けようがありません。その他大勢の「持たざる者」にとっては、1部リーグに定着・残留する以外には、なんの目標も持ちえない時代が着実に近づいてきています。オランダなんかはもうとっくにそうなっていますが。
5年ほど前にこういう 文章を書いたことがあります。クラブが主導権を握った形での「欧州チャンピオンシップ」は今のところ実現していませんが、「欧州チャンピオンズ・リーグ」そのものが少しずつ、しかし着実に「参加メンバーを固定した欧州チャンピオンシップ」の方向に向かっているようです。
いまから10年後にはチャンピオンズ・リーグも、アメリカのプロスポーツ(NBA、NFL、MLBなど)のような閉鎖系のシステムに変わっているのかもしれません。■

Posted: 水 - 12月 24, 2003 at 05:39 午後        


©