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イタリア代表情報


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フランス戦に向けて(7/02)
イタリア国内の空気は思ったよりも冷静

◆前回の小見出し「マルディーニをCBにコンバート??」は見事に誤報でした。ノルウェー戦の前日まで、その可能性が囁かれていたのですが、マルディーニ監督は、結局、カンナヴァーロをフロのマークにつけました。ハイボール対策よりも、カンナヴァーロのアンティシペーションの能力を重視しての選択です。事実、ただ1度(パリウカがファインセーヴしたヘディングシュート)を除いて、カンナヴァーロはフロに満足なシュートチャンスを与えませんでした。
この試合、結果的には1-0で、イタリアにとっては耐える時間の長い試合となりましたが、その大きな要因のひとつは、何度かあったカウンターのチャンスに、追加点を決められなかったことでしょう。縦パス1本から抜け出しゴールに迫るという場面が、前半終了間際に一度、後半半ばまでに二度、デルピエーロに訪れましたが、彼はそのいずれをも決めることができませんでした。マルディーニ監督は「アレックスはまだ、故障から復帰して2試合目だということを忘れてはいけない」と、マスコミの批判からデルピエーロをかばいましたが、デルピエーロ自身は「もしぼくがあそこで決めていればチームはずっと楽になったはず。残念だ」と、やや責任を感じている口振り。とはいえ、「調子は戻ってきている。足りないのはゴールだけだ」と、復調をアピールしてもいます。

◆マルディーニ監督が、デルピエーロに替えて、ロベルト・バッジョではなくキエーザを投入したことに対しては、マスコミからもかなりの批判が出ました。ことこの問題に関しては、マルディーニ監督はかなりナーヴァスになっています。彼にとっては、バッジョはあくまでもデルピエーロのサブ。にもかかわらず、バッジョがイタリア中から「特別」といってもいい支持と期待を集め続け、それがプレッシャーとして降りかかってくることに辟易しているのでしょう。
試合終了直後、RAI(国営放送局)のインタビュアーの「どうしてバッジョではなくキエーザを入れたのですか?」という質問に対しても、マルディーニ監督は「大きなお世話だ。純粋にテクニカルな問題で、あなた方には関係ない!」と語気を荒げました。試合中、ベンチの後ろの観客と言い合いをする場面がTVに映し出されましたが、あれも「馬鹿野郎。バッジョを出せ!」という野次に思わず反応したものです。
キエーザの投入に関しては、改めて、「左サイドから押し込まれていたから、そこに対応できる選手が必要だった。それはどう考えてもバッジョではあり得ないだろう」と、テクニカルな選択であったことを強調していますが、マスコミは、あそこでデルピエーロに替えてバッジョを入れたら、デルピエーロのモティベーションを大きく損なう危険性がある、それを避けたかったに違いない―と深読みを入れています。もちろん、本当のところは本人にしかわかりませんが。
ちなみに、このイタリア-ノルウェー戦については、「2002JAPAN」の連載「イタリア便り」に記事を書きましたので(7/4掲載予定)、そちらもご参照ください。

◆さて、次の準々決勝の相手はフランス。ここまで、事実上はずっと「格下」との対戦が続いてきたイタリアにとっては、これが最初の(とはいえここで負けたら最後でもある)「本気」の試合です。
この重要な一戦を前に、イタリア国内が「絶対勝つぞ」と熱くなっているかというと、そんなことは全然ありません。もちろん、新聞は毎日、一般紙でも3-4面を使ってイタリア、フランス両チームの動向を報じていますし、TVもかなりの時間を割いていますが、報道の内容は至って冷静で分析的。フランスには開催国という大きなアドヴァンテージがあるし、中盤とディフェンスはトップレベルだが、1人で試合を決められるFWを欠いているし、こうした大事な試合を勝ち抜くだけの経験と伝統も十分とはいえない。一方、イタリアは、中盤に問題を抱えているものの、点を取る力は明らかに上。フランスがやや有利だろうが、こちらにも勝ち目は十分ある―といった具合で、盛り上がってはいても、浮ついてはいないのです。ここまで来たら勝敗は紙一重だということを、誰もがよくわかっているからこそでしょう。

◆フランス戦の戦術的な興味として最も大きいのは、やはりジダンをどう押さえるか、ということ。ほぼ間違いなく、誰か1人(ディノ・バッジョあるいはペッソット)をマンマークで貼り付けることになるでしょう。しかし、イタリアはリベロを後ろに余らせる(フランスのFW3人に対して4人で守る)布陣だけに、さらにMFがひとりマーカーに取られるとなると、デシャンとプティの2人に対して、ディビアージョが1人で対応せざるを得なくなり、中盤が苦しくなります。このあたりをどう解決するかがポイントになりそうです。


ノルウェー戦直前情報(6/27)
ネスタを失いマルディーニをCBにコンバート??

◆例によってはらはらさせながらも2-1で勝ったオーストリア戦、イタリアはついにネスタまでも失ってしまいました(右膝の靭帯断裂とおそらく半月板損傷で全治6カ月)。これで、メンバーに残っているCBは、コスタクルタ、カンナヴァーロ、ベルゴミの3人のみ。やりくりが苦しくなってきました。
この試合、スピードとテクニックでは太刀打ちできないオーストリアは、あらゆる手段を使ってイタリアの攻撃を止めにかかりました。足首へのスライディング、肘打ち、トリッピング、ユニフォームを引っ張る、ともかく何でもあり。元々、フィジカルコンタクトに寛容で、接触プレーを流す傾向が強いイングランドの主審は、イエローカード(新しい判定基準―適用がひどくバラバラですが―ならレッド)が出てもおかしくないハードで悪質なファウルをしばしば放置し、これがオーストリアの「削り」にさらに拍車をかけます。この試合のイタリアの戦いぶりに関しては、かなり否定的な評価が多いようですが、今回に限っては、審判の判定に試合のトーンが条件づけられた部分が大きかったように思います。
とはいえ、それを別にしても、1点取ってリードしてから妙な心理的ブレーキがかかる(特に中盤が引き気味になって前線が孤立する)欠点はまだ克服されていませんし、ディフェンスも安定しているとはいえません。はっきりいって、一次リーグの3試合を見る限りでは、次のノルウェーはともかく、その次のフランス(出場停止から復帰のジダンは燃えまくるでしょう)に勝つのは簡単ではなさそうです。とはいえ、これは現状のままなら、という話。一次リーグは何とか折り合いをつけながら勝ち進み、トーナメントに入ると呪縛から解き放たれたような戦いを見せるのがイタリアですから、今回もそれに期待しましょう。

◆さて、今日のノルウェー戦ですが、相手のフォーメーションが4-5-1だけに、DFラインを3人にしても中盤を厚くして前線のT.A.フロ(高さに加えて足技もある、いわば「テクニックのあるケネット・アンデルソン」)へのアーリークロスの出所を押さえると共に、2列目からの攻撃参加をきっちりケアする、というのが基本的な対策になりそう。あとはセットプレーをどうしのぐかでしょう。
攻撃に関しては、ノルウェーの「遅さ」をどうやって突くかがポイント。数的優位はそう簡単に作れそうにありませんから(相手の守備の堅さ以上にイタリアの戦術的選択から)、やはりデルピエーロ、モリエーロ(出れば)の突破が鍵でしょうか。「高さ&強さ」のノルウェー対「スピード&テクニック」のイタリア、という構図です。攻めの局面で中盤がもう少し積極的に攻撃に絡んでくれればいいのですが...。ともかく、ここでコケるのだけは勘弁してほしいところです。
◇イタリア代表の話題はもちろん、日本代表についても書きたいことはあるのですが、なかなか時間が取れません。近いうちにまとめて書きたいと思っていますので、ご期待ください。


とりあえず軟着陸した「スタッフェッタ」論議(6/18)
イタリア中を騒がせたバッジョ-デルピエーロ問題

◆グループ1位抜けでブラジルを回避するためにはどうしても勝ちたかった6/17のカメルーン戦、結果は上々の3-0(試合結果のレポートは、こちらをご覧下さい)。スコアが示すほど楽な試合ではありませんでしたが、とりあえずはこれでほっと一息です。
幸運だったのは、同じグループのチリ-オーストリア戦が1-1の引き分けで終わったこと。こちらの試合は、双方ともに決め手を欠くややユルい展開でしたが、例によってザモラーノのヘディングからサラスが押し込んでチリがリード。これはまずいことになった、と思って見ていたら、オーストリアがカメルーン戦に続き、試合終了直前に同点に追いつきました。これでBグループは、イタリア4、チリ2、オーストリア2、カメルーン1となり、イタリアが単独トップ。最後のオーストリア戦で勝てば文句なし、引き分けても、チリがカメルーンに3点差以上つけて勝たない限り、グループ首位で一次リーグを終えることができます。
仮にそうなった場合、ベスト16で当たる相手は、スコットランド、モロッコ、ノルウェーのいずれか。決勝トーナメントになったらそう簡単には負けることのないイタリアにとっては、どこが来ようとそう難しい相手ではありません。おそらく、最初の難敵は、その次の準々決勝で当たるであろう開催国フランス(惚れ惚れしてしまうくらい芸術的なチームに仕上がってきていますが、ぎりぎりの真剣勝負となるとどうでしょうか)でしょう。

◆さて、チリ戦を終えてからカメルーン戦を迎えるまでの6日間、イタリア中を騒がせたのは、他でもない、ロベルト・バッジョとデルピエーロをどう起用するのか、という話題でした。マスコミのキーワードとなったのが「スタッフェッタ」(リレー)。これは、ペレのブラジルに次いで準優勝した70年のメキシコ大会の時に、ジャンニ・リヴェラとサンドロ・マッツォーラの起用法を巡って使われた言葉です。バッジョとデルピエーロ同様、共に「ファンタジスタ」であり、同時にフィールドに送ることが難しいライヴァル同士だったこの2人を、当時の代表監督ヴァルカレッジは、しばしば1試合の中でリレー方式で起用しました。この起用法が「スタッフェッタ」と呼ばれたわけです。
前回のこの項(バックナンバー参照)で見たように、たとえデルピエーロの故障が直ったとしても、チリ戦で大活躍し、今のところ最も好調な選手の1人であるバッジョを外すわけにはいかないだろう、というのが大方の(そして的確な)意見でした。もちろん、イタリア国民の大部分は、2人が同時にフィールドに立ち、ヴィエーリを加えた3トップの攻撃的布陣でカメルーン戦に望むことを(無責任にも)望んでいましたが、マルディーニ監督は世論なんぞに動かされるような玉ではありません。そうなると「スタッフェッタ」だろう、というので、マスコミは先回りして、盛んにスタッフェッタ是非論を盛り上げたというわけ。
毎日の新聞は、ワールドカップの試合結果そっちのけでこの話題に紙面を大きく割き、当のヴァルカレッジ元監督からリヴェラ、マッツォーラまで、テレビに引っぱり出されて当時の逸話を語らされる始末でした。
当事者の1人、リヴェラは「監督の選択は当然として受け入れたし、今でも正しかったと思っている。監督は最初から我々を交代させると決めていたわけでは決してない。流れの中でああなったのを、あなた方マスコミがスタッフェッタなどと言って騒いだだけだ。マルディーニ監督も、最初からスタッフェッタをしようなどとは考えないだろう」と語っていました。それに頷くマッツォーラ。

結局、マルディーニ監督が採ったのは、バッジョ先発、デルピエーロは途中交代で入れて、まずはゲームに慣れさせる、という、至極常識的な選択でした。いくらマスコミが騒ごうとも、突然3トップを組んだり(練習では試していましたが、やはり中盤が薄くなりすぎて機能しなかったようです)、バッジョかデルピエーロのいずれかを、本来のポジションとは違うMFで最初から使ったり、というようなことをしてバランスを崩すことは、彼に限ってはあり得ません。負けず嫌いのデルピエーロは、口では「ミーステルの選択だから当然従う。別にがっかりしてもいないし、動揺もしていない」と言いつつ、その表情には、少々とはいえ、悔しさがにじみ出ていました。
結果的に幸運(?)だったのは、前半に厳しいファウルを喰らったバッジョの動きが、おそらく足首の痛みから、明らかに落ちていたこと。これでマルディーニ監督は、ごく自然な解決として、「バッジョに替えて」デルピエーロを投入することができました。誰もが納得する交代だっただけに、大きな論議は起こりようがありません。バッジョをあえて70分まで引っ張ったあたりは、マルディーニ監督もなかなか老獪です。
次のオーストリア戦は、おそらく「本来のレギュラー」デルピエーロの出番でしょう。2試合で1得点2アシストと大奮闘した手負いのバッジョにはここでひと休みしてもらい、カメルーン戦で使えるメドの立ったデルピエーロを、今度は90分フルに使ってみる。これで、決勝トーナメントに向けた体制づくりは万全、のはずです。あとは、オーストリア戦でのデルピエーロの活躍次第。期待しつつ注目しましょう。

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