
◆6/11のチリ戦は、ご存じの通り2-2の引き分けで終わりました(試合結果のレポートは、こちらをご覧下さい)。
さて、同日行われたカメルーンとオーストリアが1-1で引き分けたことで、イタリア、チリを含めたBグループ4チームは1ポイントで並びました。これはイタリアにとって幸運です。なぜなら、イタリアには、何としても一次リーグを1位で通過しなければならない理由があるからです。
それは、決勝トーナメントの組み合わせです。Bグループの2位は、ベスト16でAグループの1位と当たることになりますが、ここに来るのはまず間違いなくブラジル。グループ1位になっておけば、次に当たるのはノルウェーかモロッコかスコットランドですから、これは天国と地獄の差です。
したがってイタリアは、残る2戦を両方勝つことはもちろん、チリも2勝したときのことを考えて、1点でも多く得失点差を稼いでおく必要があります。昨日のチリ戦のように、1-0を狙う守備的な戦い方を続けるわけにはいかなくなっているのです。
問題は、マルディーニ監督が、より攻撃的な布陣を敷く勇気を持っているかということ。ディノ・バッジョまでもマーカーに動員して、カウンター以外に攻め手がなくなるような受け身のゲーム運びを、明らかに格下のカメルーン(セリエBのルッケーゼでプレーしている右サイドバックのウォメに注目。エムボマはカリアリ行きが決まったと報道されています)やオーストリア相手にまで続けるとしたら、これはちょっと問題です。また、ここには、デルピエーロ(次のカメルーン戦には間違いなく間に合う)が入ったときに、ロベルト・バッジョをどうするのかという難しい問題も絡んできます。マスコミの間では、ヴィエーリ(またはインザーギ)を真ん中に置いて両サイドにバッジョとデルピエーロを入れた3トップで行くべきだ、という声も出ていますが(中にはバッジョ、デルピエーロの2トップを、という声まである)、マルディーニ監督がこの布陣を敷くとは思えません。むしろ、2トップ+バッジョがトップ下、という形(右SBにペッソット、中盤の底にアルベルティーニとディノ・バッジョまたはディビアージョ)の方が可能性は高いでしょう。しかしこれとて、中盤のフィルターが薄くならざるを得ないことを考えると、マルディーニ監督が好みそうな解決ではありません。ともかく、マスコミも含めた世論のプレッシャーが高まる中で、次のカメルーン戦にどんな布陣で臨むことになるのかは注目です。
◇ところで、日本で起こっているチケット未入手問題は、イタリアでも報道されています(ツアーを断念された方、本当にお気の毒でした)。これは、日本に限った問題ではないようで、開幕戦でも、ブラジルのサポーター約700人が、チケットが届かずスタジアムに入れなかったと伝えられています。また、ベルギーのサポーターの多くも、チケットが取れないのをわかっていてパッケージを売りつけたイギリスのグレート・ポートランドという代理店に騙されています。昨日のイタリア-チリ戦でも、入場できなかったチリ・サポーターが少なくなかったようです。これは、サンチャゴの旅行代理店が注文したと主張しているオーダーが、パリの組織委員会のオフィスには届いていないことが明らかになったというもの。
組織委員会は、世界17社のオフィシャル・エージェンシーを通じて、すべてのチケットが送付済みであるとしており、「被害には一切関知しない。我々のイメージを傷つける者は、誰であろうと告訴することを辞さない」と開き直っているということです。◆登録メンバー入れ替え最終期限の今日10日、イタリア代表チームは、ラヴァネッリに替えてキエーザをメンバーに加えるという変更を申請し、許可されました。ラヴァネッリは、イエテボリでのスウェーデン戦以降、練習はチームと一緒に続けていたものの、はっきりと体調を崩していました。昨日、医師の診断を改めて受けた結果、熱が引かない上に軽い肺炎の症状が見られるということで、ずっとチームに帯同していた「23人目」のキエーザにポストを譲ることになったものです。 ラヴァネッリ戦線離脱(6/10)
キエーザが滑り込みでメンバー入り
そのキエーザは、チームの中では数少ない好調組。スウェーデン戦でのラヴァネッリのプレーが、説得力のあるものとは言えなかっただけに、イタリア代表にとっては、むしろ戦力アップに結びついたようにも見えるところが皮肉です。
ラヴァネッリの症状は、4日間の安静を要す、というもので、チームにそのままとどめておくこともできたはずです。したがって、この決定の背景には、キエーザが好調だという事実が、少なからずかかわっているということも、容易に想像できます。もともとはデルピエーロの「保険」として呼ばれたキエーザでしたが、最後の最後でチャンスを掴みました。これはひょっとすると思わぬ「切り札」になるかも知れません。それにしても、デルピエーロにはじまって、ペルッツィ、トッリチェッリ、そしてラヴァネッリと、故障者が相次いでいるところは気がかりではあります。長いカンピオナートの間に蓄積した疲労から、まだ回復し切れていない選手が多い証拠です。初戦のチリ戦はもう明日に迫っているのですが...。
◆そのチリ戦、マルディーニ監督が今日発表した先発メンバーは、前項で見た「レギュラー組」と同じです。ただ、右サイド(ディリーヴィオorモリエーロ)だけはまだ固まっていないようです。
ただ、ヴィエーリに関してはまだトップコンディションには程遠いというのが一致した評価で、90分出場する可能性は少ないでしょう。FW陣では、インザーギとキエーザがいいコンディションを保っています。
イタリアのいるBグループは、チリ、カメルーン、オーストリアという構成。どう見ても、最もデリケートな相手は明日当たるチリです。ともかく、前回のように初戦でコケないことを祈りましょう。◆初戦のチリ戦を4日後に控えた7日、イタリア代表は地元ロワーズ県の選抜チームと、最後の調整試合を行いました。先発メンバーは、前半がレギュラー組(チリ戦の先発メンバー候補)、後半がリザーブ組。レギュラー組メンバーは、次の通りでした。 チリ戦に向けて準備進行中(6/8)
フィジカル・コンディション回復の遅れが不安材料Pagliuca-Cannavaro, Costacurta, Nesta, Maldini-Moriero, D. Baggio, Albertini, Di Matteo-R. Baggio, Vieri
注目点は、センターバック・コンビのうち、カンナヴァーロが右(対サラス)、ネスタが左(対ザモラーノ)と、これまでのポジションとは入れ替わったこと。マルディーニがカバーしている左サイドに比べて、右サイドはモリエーロ(またはディリーヴィオ)が上がり気味になるため、CBがケアすべきスペースがやや広くなるのですが、先のスウェーデン戦で右CBに入ったネスタのプレーにやや戸惑いが見られたことで、今回は左右を入れ替えてみたというわけ。ユース時代から一貫してゾーン・ディフェンスで育てられたネスタは、代表のマンマーク・ベースの守備戦術をまだ完璧にはこなし切れていないようで、本人にも少々迷いがあるようです。場合によっては、スウェーデン戦の後半と同様、コスタクルタをストッパーに回して、ベルゴミがリベロに入る可能性もあると見られています。
結果は7-0でしたが、この調整ゲームは、コンディション的にまだまだフィットしていない選手が多いことを明らかにした、というのが大方の見方です。好調といっていいのは、パリウカ、ブッフォン、ペッソット、R.バッジョ、インザーギくらい。特にD. バッジョ、アルベルティーニ、ディマッテーオのMF陣が、まったく精彩を欠いていたところが、大きな不安材料として取り上げられています。
マルディーニ監督は、原則としては、上記の「レギュラー組」でチリ戦を戦うと語っており(彼は三味線も上手いので実際どうなるかはわかりませんが)、これからの3日間でどこまでフォームを高められるかがポイントでしょう。◆22人の中で、最もコンディションが悪いのがトッリチェッリ。コヴェルチャーノでの合宿中に痛めた踵の回復が遅れており、この1週間、ずっと別メニューの練習が続いています。今日、改めて検査を受けた結果、あと1週間程度で回復の見込みということで、メンバーには残ることになりそうですが、予選リーグ最初の2試合では使えないでしょう。10日ぎりぎりまで様子を見て、最悪の場合は、今もチームに帯同しているキエーザが代わりに入ることになるようです。
◆6月2日、ワールドカップ前最後の調整マッチ、スウェーデン戦が、イエテボリで行われました。メンバーは以下の通り。 イタリア0-1スウェーデン(6/4)
ペルッツィ戦線離脱。デルピエーロはOK。イタリア(4-4-2 a uomo)
Pagliuca - Nesta, Costacurta (73' Bergomi), Cannavaro, Mardini - Di Livio (46' Moriero), Albertini, Di Biagio, Di Matteo (84' Pessotto) - R. Baggio, Ravanelliスウェーデン(4-4-2 a zona)
Hedman - R. Nilson, Bjorklund (46' M. Nilson), P. Andersson, Kaamark - Mild, Scuwarz, Larsson, Sodestrom (62' A. Andersson) - K. Andersson, Pettersonイタリアは、リハビリ中のデルピエーロ(メンバー入りが正式決定。初戦はともかく、2戦目以降は復帰が確実です)に加え、ディノ・バッジョ、ヴィエーリが体調不良で、2トップにラヴァネッリ、R.バッジョというコンビ。中盤は、いつもは中央に位置するアルベルティーニを右寄りに置き、中央にはディビアージョを入れるという、やや実験的なフォーメーションでした。
試合の方は、0-0のまま突入したロスタイムに、うまくネスタのマークを外したケネット・アンデルソンに超高打点のヘディング・シュートを決められ、0-1という結果に終わっています。
実はぼくはTVで最後の10分を見ただけなので、内容についての具体的なコメントはできませんが、内容的には、まずまずという以上のものではなかった、というのが大方のマスコミの評価でした。各紙の採点を見ても、及第点をもらったのは、パリウカ、ディビアージョ、R. バッジョくらい。多くの選手は、コンディション的にまだまだできあがっておらず、精彩を欠いていたようです。
まあ、まだまだ調整段階、というのは周知の事実なので、マスコミも敗戦そのものをあげつらうことはほとんどしていません。ただ、相変わらず攻撃に人数をかけない安全第一の試合運びで、前線の2人が孤立することが多く、攻撃の組み立てが機能しなかった点については、否定的なコメントも少なくありませんでした。まあ、これはマルディーニ監督の戦術を巡ってずっと言われ続けていること(「Number Plus」のW杯特集号に拙訳の関連記事あり)で、今に始まった話ではありません。マルディーニ監督自身は、次のように語っています。
「負けなければもっと良かったけれど、ワールドカップ優勝を狙うチームが、開幕9日前にもう絶好調なんてことはあり得ないし、あってはならない。ゲームでは、特に中盤でいいプレーがいくつか見られたし、デンマークを3-0で破ったばかりの強いチームが相手だったことを考えれば、今日はこれで十分だ。全然心配はしていない。単に勝ちたいのならもっと弱い相手を選べば良かったんだから。」
確かに、イタリア代表が合宿に集まってから、まだ2週間足らず。ユヴェントゥス組が合流してからは10日しか経っていません。その合宿も、長いシーズンを終えて疲れ切った選手たちのコンディション調整が中心。これから12日のチリ戦までの1週間で、徐々に仕上げていくということなのでしょう。ピークに持っていくのは、それこそ決勝トーナメントに入ってからでいいのですから。
事実、試合を終えたイタリア代表はその日のうちにミラノに戻り、そこで解散。2日間のオフの後、明日5日にフランスに向けて出発します。戦術やコンビネーション以前に、まずは心身ともにフレッシュな状態でワールドカップに臨むことが重要だということでしょう。◆ところで、チームがイエテボリに移動した5月31日の朝、レギュラーGKのペルッツィが、ウォームアップのための軽いジョギング中に、突然ふくらはぎの肉離れを起こし、戦線離脱を余儀なくされました。すでに、穴埋めにはトルド(フィオレンティーナ)に召集がかかっています。
ただ、チームの戦力に対する影響は大きなものではないでしょう。パリウカがレギュラー、サブにブッフォンとトルドというGK陣は、ペルッツィを欠いてもまだ、これを羨まないチームはないだろうというくらい強力。強心臓で知られるブッフォンは「選手というよりは1人のティフォーゾとしてフランスに行くくらいのつもりでいたけれど、これは気持ちを切り替えないといけないようだ。ペルッツィには本当に気の毒だけれど、ぼくの方は何も問題ない。もしチャンスがあったら彼の分まで頑張ってくるよ」と、ひょうひょうとしたものです。◆前回取り上げたロベルト・バッジョの移籍問題ですが、昨日(6/3)バッジョとインテルのモラッティ会長が電話で話をし、合意に達した模様です。サインはもちろんワールドカップ後ですが、条件は50億リラ(=約4億円)の3年契約。ボローニャには、35億リラ(=約2億8000万円)の移籍金が支払われるほか、インテルがアタランタから獲得したばかりの若手FW・ピルロがレンタルで移籍することになるようです(当初、インテルはカヌーのレンタルを提示していたが、カヌーは拒否した)。
◇ガスコイン、ロマーリオの代表落ちの話題は、イタリアでも大きく取り上げられました。ロマーリオの涙の記者会見は、多少の同情を誘いましたが、もともとは、オフの時にビーチサッカーをやっていて足を痛めたのが原因、ということもあって、まあ自業自得だろう、というクールな論調。
カズのそれに関しては、1行情報程度の扱いで、残念ながらほとんど話題になっていません。そのかわり、というわけでは全くありませんが、岡田監督が「日本のお父さん」に選ばれたという話を一般紙の埋め草で見かけました(...)。バックナンバーへ 当ページに対するご意見、ご感想をお待ちしています(こちらまで)。